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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

書籍 「Due Diligence」

Due Diligence: An Impertinent Inquiry into MicrofinanceDue Diligence: An Impertinent Inquiry into Microfinance
(2011/12/19)
David Roodman

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マイクロファイナンスは貧困者救済のための万能薬なのか、

或いは、マイクロデット(借金)と揶揄されるように、更なる貧困への罠なのか、

極端に言えば、

マイクロファイナンスを巡る議論はこのように分けられてきたように思う。


Roodmanが本書で展開する議論は、

いずれでもないユニークなものだ。

イントロに出てくる以下の文がそれ要約している。


「マイクロファイナンスの成功は事実であるが、それは一般的に理解されているよりも目立ちにくいものだ。マイクロファイナンスの強みは人々を貧困から救うことではない。工業化や雇用のほうがその点では優れているだろう。また、女性のエンパワーメントといったものでもない。それは、むしろ、多くの貧困者に生計(ファイナンス)のコントロールを与える組織、産業に資金を貸すことができる点である。」(P. 8、バン長訳)


著者はRCTs(Randomized Controlled Trials)による最新の研究結果を根拠に、

マイクロファイナンスが貧困削減等従来期待されてきたような役割を

十分果たせていないとしている。

現時点においては最も説得力のある見方であろう。


しかし、マイクロファイナンスは何の役にも立たない無駄なもの、

或いは貧困者を更なる貧困に追い詰めるものという訳ではない。


不安定で低い収入を補うために、

貧困者はあらゆる手段を講じなければならず、

そのための新たなツールとしてマイクロファイナンスが役立てる可能性は十分にあり、

それにより貧困者が自らの生活をコントロールし易くなるというのが本書で示される結論である。


Roodmanの議論で最もユニークな点は、

この結論に基づき、

そうした役割を持ったマイクロファイナンス業界の成長こそが、

マイクロファイナンスの成功と主張している点だ。

カンボジアにおいてもこの業界の近年大きく成長してきており、

これを以って「成功」と言うのであれば、

そう言えなくはない状況ではある。


本書初読後の感想は以下のようなものだ。


①MFIs(Microfinance Institutions)が貧困者向けのサービス、

貧困削減を目的として謳っている以上、

やはり成功か否かはその点で判断されるべきではなかろうか?


②貧困削減をギミックとして使わなければ、

マイクロファイナンス業界の発展、「成功」はなかったのではないか?

仮に貧困削減効果がないとすれば、

著者の言う「成功」は幻想の上での成功ということになるのではないか?


マイクロファイナンスの効果についてはまだまだ検証が必要な段階にあり、

それらを踏まえた上で、「成功」に関する議論も進めていくべきであろう。


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プロフィール

バッタンバン長

Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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