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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

書籍 「人口と日本経済」と「武器としての人口減社会」

人口動態の変化によって日本経済がスローダウンしている、
より具体的には、
人口減少や老年層の相対的な増加が経済に負の影響を及ぼしている、
こうした議論は非常によく目、耳にするものだ。

そうした中、この議論に異を唱える新書2冊が目を引いた。
吉川洋(東京大学名誉教授/マクロ経済学)著「人口と日本経済-長寿、イノベーション、経済成長」、
村上由美子(OECD東京センター長)著「武器としての人口減社会-国際比較統計でわかる日本の強さ」である。

何よりも目を引いたのはそれぞれの帯に踊る力強いメッセージ。
吉川のほうには「日本の衰退は必然?経済学の答えはNOです。」、
村上には「少子高齢化はチャンス!」とある。
経済学、国際比較統計の観点から、
日本の明るい展望が示されるものとついつい期待値も上がってしまう。

しかしながら、上がってしまった期待値の分だけ、
読後感は複雑なものであった。
確かに、吉川は経済学的な視点から、
村上は様々な統計を用いて説得力のある議論を展開するのだが、
いずれにおいても、
残念ながら人口減少によって経済が上昇するという結論は示されていない。

当たり前と言えば当たり前の話。
人口減少によって経済成長するのであれば、
現在すでにその傾向が見られているはずなのだ。

むしろ、共通した答えは、
経済成長はイノベーションによって生まれるというものである。
村上が論じるのは、
イノベーションが生まれるための環境が日本には整っているという点。

吉川は様々な有名なマルサスに始まり、
経学学者たちが人口問題をどう捉えてきたかを示し、
確かに必ずしも人口減少によって、
経済が落ち込むという確固たる結論がある訳ではないという論を展開する。
しかしながら、
次の文章のとおり、
人口減少は問題であるとの認識も示す。

人口減少は大きな問題だが、しかしその一方で、日本経済の「成長」については、「人口減少ペシミズム」が行きすぎている。人口が減っていく日本経済に未来はない、といった議論が盛んになされるが、これは間違っている。先進国の経済成長は、基本的には労働人口ではなく、イノベーションによって生み出されるものだからである。(P. 50)

人口減少によって経済が衰退することを心配し過ぎず、
イノベーションに力を注ぐべきということか。

若干残念な感はあるものの、
イノベーションこそが成長の鍵であることが分かれば、
そこの努力をするしかないのであろう。

村上が示す数々の統計や、
吉川の長寿、経済成長に係るエッセイ(そもそも本書は論文ではなく、エッセイである)は、
なかなか面白いのでそういう期待を持って読まれることをオススメします。



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プロフィール

バッタンバン長

Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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