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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

書籍 「タイ 中進国の模索」

タイ 中進国の模索 (岩波新書)タイ 中進国の模索 (岩波新書)
(2009/08/20)
末廣 昭

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カンボジア、特に北西部とは繋がりの深いタイ。

年に一度は訪れ隣国の状況についても学ぼうとしているが、
本で学ぶとなると、
ガイドブック類ばかりで、
国の政治・経済について書かれたものはまだまだ少ない印象だ。

そんな中、
比較的分かりやすく現在のタイ社会が抱える問題を描き出した本書。
切り口となるキーワードは、
民主化と中進国である。
具体的には、
政治的にどのような体制を以て民主化をより進めていくのか、
経済社会的にグローバル化の流れでどのように「タイらしさ」を維持していくのかという視点である。

個人的には前者よりも後者のテーマのほうがより興味深いものであった。
カンボジアにはより影響のあるテーマだからだ。

タイについても豊かな都市部、貧しい農村というイメージが一般的なようだが、
筆者が示す統計に基づけば、
バンコクと地方都市の経済格差は広がっているものの、
バンコクと農村部の間ではむしろ縮小する傾向にあるという。
地方都市や農村部で好まれるビールの消費量の伸び、
セブンイレブンや大型スーパーの出店数等もこれを裏付けるデータとのこと。
(ちなみに、2006/07年における東北の農村部で約10,000バーツだそうだ。)

中進国になるにつれ少子高齢化も進んでいるそうだ。
本書が書かれた時点で女性の合計特殊出生率は1.7であり、
2023年には高齢社会に入ると予測されている。
渡辺利夫著「成長のアジア・停滞のアジア」で示されたような
農村部が供給する過剰労働者というのは過去の話なのであろう。
カンボジアのような隣国の労働者が必要となる背景でもある。

「微笑みを失ったタイ」(P. 124)という表現も、
中進国となったタイ社会の現状を表すものとして面白い。
今となってはよっぽどカンボジアのほうが「微笑みの国」である。

先回の訪タイの際には、
BTSやバスの中で黙々とスマートフォンに興じる若者の姿に若干違和感を感じてしまった。
時には煩わしい周囲との関係の中で生きるより、
自分だけの世界の中で悦に入るにはもってこいのツールなのだろうが、
周りとワイワイ、ガヤガヤとサバーイなのが「タイらしさ」ではなかったか。
(近い将来カンボジアにも当てはまる話かもしれない。)

現在のプノンペンを「〇〇年前のバンコク」などと表現する人もおり、
まだまだ学ぶべきは多そうなタイ。
本書巻末には参考文献リストも出ているため、
それらについても読んでみようと思っているところだ。
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プロフィール

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Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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