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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

出稼ぎと農村の人手不足 2

Phnom Penh Postに
「Worker exodus to affect output」(労働者のエクソダスが農業生産量へ影響)
との記事が出ていた。

このブログでも以前から農村の人手不足を指摘してきたが、
この記事によると、
労働人口における農業従事者の割合は、
2009年に57.6%であったのに対し、
2010年には54.8%、
2013年には48.7%まで下がってきているとのこと。
統計は農業省が発表した報告によるもので、
農村の労働人口の流出とそれによる農業の生産量の低下へ繋がる可能性が指摘されている。

対照的に、
総労働人口に工業セクターが占める割合は、
2009年には15.8%、
2011年には16.9%、
2013年には19.9%と上昇している。

国内総生産(2014年)に農業が占める割合は28.7%、
工業が25.5%、サービス業が40.5%だそうだ。

統計の正確さは若干気になるところであるが、
農村の労働人口が国内の都市部、隣国へ流出していることは間違いないであろう。
国内においても縫製工場の労賃が上昇を続け、
タイにおける労働力不足が続く現状では、
どのように農業で儲かる仕組みを作れるのかは難しいところだ。

そんなことを思いながら、
渡辺利夫著「成長のアジア・停滞のアジア」をパラパラと眺めてみると、
1980年代中頃に書かれた東南アジア経済に関する論文の中に、
以下の文章を見つけた。

近年における東南アジアの工業化率は、長期にわたる経済開発史において空前の高さにある。その実績は他地域に比較してめざましく、確かに東南アジアは成長地域というの相応しい。にもかかわらず、その工業化が近代部門をとりまく伝統部門の近代化を促す誘発力を形成していない。一つには、伝統部門に余剰労働力を抱え、なおその増加率が高いからであり、二つには、工業化の雇用吸収力それ自体が小さいからである。(P. 174)

当時すでに工業化に乗り出していた東南アジア諸国においては、
都市部の近代的な工業化と、
農村部の伝統的な農業という構図があり、
前者が後者の貧困問題を解決するのに至っていないと見られていた。

現在のカンボジアにおいても工業化が進みつつあるが、
これが農村部の貧困問題の解決に繋がっていることを示す統計はなさそうだ。
しかしながら、「伝統部門に余剰労働力を抱え」という点においては、
若干状況が違ってきているのかもしれない。
先行して工業化を成し遂げてきたタイにおける労働力不足が発生しており、
そこで得られる賃金は国内の工場の倍以上なのである。

引き続き、
今後の動向を注視していくことにしよう。

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Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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