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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 10

3.資金繰りのためのMFローン

農業の他、
MFローンは借金返済や消費のためにも多く利用されている。

多くの世帯は農業を主な収入源としているが、
年に1,2度の収入であるために、
収入のない期間が生まれてしまう。
多くの世帯ではタイへの出稼ぎでこれを補おうとしているが、
これも不定期である。

不安定、不定期な収入の農村世帯の資金繰りは厳しく、
家計を借金で補わざるをえない場合が多いと考えられる。


4.貧困削減への効果

この調査においては、
MFローンが貧困削減に寄与していること示すデータは見つかっていない。
逆に、多重債務や借金が拡大している傾向は、
むしろその逆の可能性を示すものである。

また、不動産売却で借金を返済したMFユーザー世帯は2世帯あった点(計3回)、
生活が回らなくなったために他の親族世帯に吸収された世帯も2世帯あった点は注目である。
(後者は全期間のデータ収集ができなかったMFユーザー3世帯のうちの2世帯)

サンプル数の少なさやMF以外の借金もあることから、
これらのケースがどの程度一般化できるものなのか、
MFローンとのどういう関連性があるのかを判断するのは難しいところだが、
貧困が進んでいるケースは間違いなく存在しているのが実状である。


5.マイクロファイナンス拡大の背景

以上の結論を踏まえると、
冒頭の問
「一般的には貧困削減効果が疑わしい中、
MFローンのユーザーが増加しているのは何故か?」
にどのように答えられるだろう?

前述のとおり、
本調査においてもMFの貧困削減効果は認められず、
むしろその逆の可能性が示された。

それでも、多くの農家はMFを利用している。
高利貸しや個人的な貸借、店のツケも多用されている状況からは、
彼らにとってMFは特別なものではなく、
農業や生活のやりくりのための手段の1つに過ぎないものと考えられる。

借金が膨らむ傾向は問題であるが、
高利貸しよりも金利が低く、
個人的な貸借よりはまとまった金が借りられるMFの需要は高く、
MFユーザーの増加に繋がっていると推測される。

また、多重債務の傾向からは、
MFIsが発表するMFユーザー数には、
複数のMFローンを抱えるユーザーが重複して数えられている可能性もあると考えられる。

この調査で訪れたMFユーザー世帯は、
1世帯当たり年間3~4のMFローンを使っており、
この数字を単純に当てはめれば、
カンボジアのMFユーザー世帯数はMFIsが発表する131万人の1/3程度であってもおかしくないことになる。
(これら対象村が首都から300キロ以上、
州都からも50キロ離れた場所であることも忘れてはならない。)

MFユーザーの増加=新規ユーザーの増加ではなく、
既ユーザーのローン数の増加が含まれる点も注意が必要であろう。

(続く)
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バッタンバン長

Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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