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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

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書籍 「帝国との対決-イクバール・アフマド発言集」

帝国との対決―イクバール・アフマド発言集 (Homo commercans)帝国との対決―イクバール・アフマド発言集 (Homo commercans)
(2003/01)
イクバール アフマド、デイヴィッド バーサミアン 他

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日本人にとっては馴染みのないであろう著者Eqbal Ahmad(イクバール・アフマド)。
本書は生前にイクバールが残したエッセイやインタビューをまとめたものだが、
9.11に関する予言めいた発言により注目を浴びた講演
「テロリズム-彼らの、そして、私たちの」も含まれている。
(イクバールは99年に亡くなっている。)

帯には「エドワード・サイードが「政治方面の導師」とあおぎ、
主著「文化と帝国主義」を捧げた知識人活動家アフマド」
とある。

「オリエンタリズム」の著者として知られるサイードの師となれば、
興味が湧く人もいるように思うが、
イクバールの生前の付き合いは、
フランツ・ファノンやノーム・チョムスキーといった多くの大物知識人にまで広がっている。

当然ながら、
イクバールのすごさはそうした表面的な評価や広い人脈だけに留まるものではない。
本書においても、
テロリズム、アメリカ外交、ポストコロニアリズム、アフリカ、中東、アジアの政治、現代社会といった分野について、
鋭い洞察力と長年の研究に基づく議論が示される。
論集、インタビュー集であるために、
一冊を通して同じテーマを扱っている訳ではないが、
主流のディスコースへの挑戦である。

彼らはテロリズムを定義しなくとも、それを、良き秩序への脅威、西洋文明の道徳的価値感への脅威、人類に対する脅威と呼べばいいのです。人類だの文明だの秩序だのをもちだせば、テロリズムの世界規模での撲滅を呼びかけることができます。(P. 13)

わたしは自分の著述のいくつかで論じたのですが、「正義の戦い」という意味での〈ジハード〉の概念は、十世紀以来、ムスリム世界には存在しませんでした。それを合衆国が復活させ、アフガニスタンにおけるソ連との戦いの期間に利用したのです。(P. 137)

パキスタン政府も合衆国政府も、パイプラインの安全を確保するためにイスラム原理主義グループのなかでも、もっとも残忍で、もっとも狂信的なグループを選びました。それがタリバンです。
タリバンは女性を差別しています。合衆国の高官たちが何人も、彼らのもとを訪れ会談がおこなわれています。わたしたちの地域では、合衆国はタリバンを支持しているという印象が一般的です。(中略)
合衆国の関心は、どの民族が原理主義的でどの民族が進歩的かではありません。ましてやどの民族が女性を正当に処遇し、どの民族が女性を虐待しているかでもありません。そんなことはどうでもいいのです。問題は、どの民族が、合衆国あるいはその企業がコントロールできる石油資源の安全を確保してくらるかなのです。(P. 143-145)

不幸なことに、歴史は弱者ではなく強者を認知し、強者に可視性を与えます。歴史的にみると可視性は支配的なグループに付与されてきたのです。(P. 15)

世界銀行の方針とは、第三世界に高等教育はいらないというものです。むしろ読み書き能力の普及を求めています。その方針は相対的にみて熟練労働者といえる労働者をふやすことであり、みずからを管理統治できる人間はお呼びではないのです。(P. 101)

ポストコロニアル国家というのは、植民地国家の改悪版です。ポストコロニアル国家になっても国家の構造は変わりはありません。つまり、権力は集中し、官僚は権威的で恩着せがましく、軍部と地主貴族が結託しています。国家の構造はあいかわらずなのに、そこの新しい問題が生じ、古いシステムが動かなくなる・・・。
植民地国家は、被植民者に役立つことをするために存在するのではありません。植民地国家は搾取と資源の採集のために存在するのです。ポストコロニアル国家も同断です。(P. 253)

ナルシズムの文化そのものは今日のアメリカ社会に蔓延しています。(中略)この文化の根源は資本に、消費主義に存在します。テレビをつけてみてください。あらゆる広告があなた個人の癒し、消費、快楽についてのものです。明けても暮れても、これが子供と大人にたたき込まれるのです。これにはわたしたちの精神を成形する効果があります。自己や家族や小集団を超える連帯という観念は、消費者志向の現代アメリカにあってますますなじみのないものになってきました。(P. 321)

中東のテロが報じられる度に、
サイードやイクバールがいればどのように解説してくれただろうかとつい思ってしまう。
テロリストの非道な行いはニュースを見れば明らかだが、
その背景を深く理解し、説明できる人は限られているのだ。

グローバル化、アメリカ的な資本主義化がより進んでしまった世界についても、
我々が今後進むべき道についても聞いておきたかったことばかりだ。

最後に。
アフマドのことを敢えてイクバールと呼ぶのは、
彼の学生の多くがそうであったことによる。

大学時代を過ごしたマサチューセッツのキャンパスで、
雪が降り積もる中、アルバイト先の警備小屋に暖かいティーポットを差し入れしてくれたその人こそが、
自分にとってのイクバールなのだ。

本書の出版はもう数年前になるが、
イクバールの存在が日本の方にも知られるようになったことは、
何よりの喜びである。
(NHKが彼に関するドキュメンタリーを作ったという話を本人から聞いたことがあるが。)
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Canaan Restaurant

Heng Chhay Ly Mart近くにできた中華レストランのCanaan。
麺、餃子、麻婆豆腐等の中華の定番がリーズナブルな価格で頂ける。

Canaan Restaurant

中華の定番とは言ったものの、
日本向けにアレンジされた日本の中華料理屋とは異なる本格的な中華料理である。
日本人には見慣れない料理もあるが、
メニューには写真も付いているので参考になる。

お店はシンプルな造りで、
大人数でもお一人様でもOKな雰囲気だが、
やはり中華は大人数で色々食べるのが一番だろう。

中華系のスーパーである開山超市について先月紹介したばかりで、
中華系ビジネスの進出が目立つ昨今のバッタンバンである。

(追記)残念ながれ閉店しました。

 

援助とマスメディア

少し前の話になるが、
人権活動家として知られるSomaly Mam、
そして彼女がトップを務めて来た財団に関するニュースがマスメディアを賑わせていた。

かいつまんで言えば、
自身が被害に遭った経験を基に人身売買の撲滅に取り組んで来たSomaly Mamが、
その経験を含め、これまでマスメディアや支持者に向けて行った発言について疑義が浮上、
最終的には自身が設立した団体が閉鎖に追い込まれる事態となったという話。
(アメリカで彼女の名を冠した新たな団体が設立されるそうだ。)

一部ではある種の驚きを持って受け入れられていたようだが、
カンボジアのマスメディアを追ってきた方たちにとっては、
それ程驚きではないのではないようにも思われる。
国際的な注目、脚光を浴びる一方、
国内では否定的、懐疑的な見方も少なくなかったためだ。

問題の詳細については様々なところで紹介されているので、
ここでは割愛するが、
報道を見ていて考えさせられるのは、
援助とマスメディアの関係である。

援助を行う組織が資金を得るためには、
その分野における課題やそれに対する取り組みを世に知ってもらう必要がある。
マスメディアが発行部数やリーチ数を上げるためには、
それを上げるためには感動的な話や刺激的な話が必要となる。

Global Postのインタビューに応じた際のソマリーの元夫の発言は非常に印象的である。
“When you work in this world, you know fabricated stories are used by everyone to get funding.”
(資金を得るために作り話をすることは、この業界にいる者にとっては当たり前の話だ。)

援助する側がこうしたストーリーを上手く利用している部分もあろうし、
マスメディアがこうしたストーリーを欲しがっている部分もあるであろう。
何よりも感動や刺激を求める私たちがいるのだ。
(日本の耳の聞こえない作曲家や、
ポップな女性サイエンティストの話にも通ずる話だ。)

いずれにせよ、
マスメディアに注目され有名になった分だけ、
落とされるときもニュースになるというのは皮肉な話である。

そんなことを考えてるうちに、
2003、2004年にCambodia DailyPhnom Penh Postに掲載された記事のことが思い出された。
やはり人身売買に関する記事で、
以下がそのまとめである。

①Thomas Steinfatt(王立プノンペン大学、コミュニケーション学)が行った調査によれば、
カンボジアには約18,000人のセックスワーカーがおり、
このうち約2,000人(注1)が人身売買によって強制的にその仕事に就かされている。
SteinfattはNGOが引用する80,000~100,000人という人身売買被害者には根拠が見当たらず、
資金集めのためにこの数字が利用されていると指摘。
(注1: Phnom Penh Postでは約2,000とあるが、実際の報告書では2,488名となっている。)

②Somaly Mamらが設立したAfesip等人身売買の問題に取り組むNGOはこれらの数字は少なすぎると反発、
人身売買の定義を広げるべきと主張し、
Steinfattがバイクタクシーをその助手として使われた調査手法についても妥当ではないとした。
また、セックスワーカーだけが人身売買の被害者ではない点も指摘した。

③Steinfattは調査がセックスワーカーのみを対象として行ったものであり、
客を連れて行く立場にあるバイクタクシーこそストリートワイズな情報提供者であるとした。

この議論から10年が経つが、
未だに数字に関する議論は決着が着いていない。
マスメディアの注目度の割に、
問題の本質に対する対応が十分だったのだろうかと考えてしまう。

数字、規模の如何に関わらず、
そこに被害者がいるのであれば支援は行うべきというのも議論もあろう。

しかし、具体的な援助・支援を考える場合、
問題の定義や規模、その背景を考えるのはやはり重要なはず。
さもなくば、 効率的・効果的なアプローチが取られない可能性も大いにあり、
目的(問題解決)と手段(資金集め)が混同される結果にもなりかねない。

援助とマスメディアの関係、
そして感動や刺激を欲しがる我々の在り方については、
また機を見て書いてみたいと思う。

(追記)
5月30日、6月1日と立て続けにPhnom Penh Postに関連の記事が出ていた。
いずれも批判的な内容である。
また、6月10日には児童買春に関するあらたな調査結果に関する記事も出ていた。
調査結果を巡って見解が分かれているのは、
10年以上経った今もやはり変わっていないようだ。

 

AIIBとカンボジア

日本でもそれなりに話題になっていると思われるAIIB(Asian Infrastructure Investment Bank)。
中国のイニシアチブによって創設される開発銀行である。

日本、アメリカは不参加の姿勢を示しているが、
ヨーロッパやオーストラリア等の参加により、
日本もこれに参加すべきとの見方も一部ではあるようだ。

カンボジアはかなり早い段階でこれへの参加を表明し、
他のASEAN加盟国同様、創設メンバーにも名を連ねている。

しかしながら、
政府の積極的な動きと対照的に、
カンボジア国内においては特に大きな議論はなされておらず、
国民の関心も高くはないように見える。

Phnom Penh Postも、
辛うじて「Concerns new China-backed global lender could be a hurdle to self-reliance」
(新たに中国が押し進めるグローバルな金貸しは自立への障害となる懸念も)
といった記事を出した程度である。
コンプライアンス軽視による社会への負の影響、
アジア地域における中国の政治的影響拡大を指摘しつつも、
ドナーに頼りきることで海外直接投資の呼び込みが疎かになるという懸念(自立への障害)が記事の主旨だ。

カンボジア国内において大きな議論が生まれない背景には、
中国がすでにカンボジアに対するトップドナーの位置にあることも関係していよう。
出し方が異なるだけで目新しさはないということだ。
政治的な影響力もすでに大きいとも考えられる。

カンボジアの観光業においては、
昨年の観光客全体の数が落ち込む中、
中国人観光客は数を伸ばし(21%増加)、
1人当たりの支出額でも注目を浴びている。

中国経済の鈍化を指摘する日本のマスメディアは少なくないが、
カンボジアで見ている限り、
中国の経済力、政治力の拡大には終わりがないように見えてしまうのだ。

 

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プロフィール

バッタンバン長

Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
お問い合わせ等は、下のメールフォームからお願いします。

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