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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

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休憩

FC2に引っ越しし丁度1年。
農村調査の報告が終わったところで、
このブログも少し休憩に入ろうと思う。
新たな仕事もあれば、
論文もまとめなければならないのでいいタイミングだ。

これまでは2日に1度程度のペースで記事を書いていたが、
今後は不定期、
「これは!」というものに絞る格好になるだろうか。

今後も北西部界隈にいる予定ですので、
ご連絡はメールフォームからお願いします。
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農機の寄贈

トラクターやコンバイン等農機の寄贈を頂いた。

Farm Machinery

今後、これらを活かし、
学部生だけでなく、学外にも開かれたプログラムが開催される予定である。

ここでも何度か書いてきたとおり、
農機の需要は過去数年で爆発的に広がり、
この時期、稲の刈り取りを行うコンバインの姿も一般的なものとなったが、
その仕組みについてシステマティックな理解を持つ者はまだ少ない。

初めは構造やメンテナンスといった内容が中心にならざるを得ないが、
機械は「大学生」がやるものではないという認識が根強いのが若干心配なところ。
日本でいうとヤンチャな学生が集まる工業高校のイメージなのだろう。
油や土にまみれるのは、
「大学生」のやることという勘違いもある。

工学に限らず、
いわゆる理数系学問はカンボジア高等教育の伝統的な弱点であり、
こうした機会を通じ学生にはそのおもしろさに気付いて欲しいところ。

少なくとも、
実社会は技術を持った人材を求め始めているのだから、
やらない手はないはずだ。

 

吉野家

日本のあの吉野家がシェムリアップにオープンした。
場所はオールドマーケット近く、
マーケットから橋を渡ってすぐの場所。

価格は牛丼が4ドルと日本より若干高めの設定。
ペプシとみそ汁がつくセットの他、
日本にはないベジタブル牛丼などもある。

Beef Bowl

Beef Vege Bowl

日本では町中にあるイメージの吉野家だが、
ここは自然に囲まれたエリアにあるため、
あまりファストフードという感じがしない。

今後、シェムリアップ、プノンペンの両空港の他、
イオンモールにも出店されるらしい。
牛丼好きには嬉しい話である。

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 11

多重債務や借金の拡大傾向を考えた場合、
MFユーザーが増え続ける現状は憂慮されるべきものであり、
何らかの策を講じる必要があると考えられる。

MFIsにとっても、
これだけ複数の借金がある状況であれば、
担保に取っている土地が売却されたり、
二重担保の可能性もあるのだから重要な話であるはずだ。

調査のまとめを踏まえ、
カンボジアのMFについていくつか提案をしてみたい。


1.多重債務、過剰債務の予防・抑制

多重債務に対する取り組みが進められていると言われているが、
農村における現状は本調査が示したとおりであり、
より積極的な取り組みが必要と思われる。

この取り組みはMFローンに限ったものではなく、
高利貸しや個人間の貸借、店のツケなども含めたものであるべきで、
貸付も全体的な債務状況を確認した上で行われるべきである。

また、特に農家の場合、家計の収支を把握することは難しいため、
仕送りなども含めた細かな確認を行い、
過剰債務とならないよう確認する必要もある。

貧困削減もつまりは、
収入を上げて、支出を減らすことに尽きるのだから、
無駄な借金は作らせないような体制づくりは重要なはずだ。

まとめ
①ユーザーの債務状況の確認
(出稼ぎ者も含めた世帯構成員の誰が、いつ、どこから、どれ位借り、いつ、どれ位返すのか)
②ユーザーの家計状況の確認


2.ユーザーへの知識の共有・サポートの強化

MFの良し悪しも、
結局はユーザーがそれをどう活かすかであり、
MFが有効に利用されるためには、
ユーザー側への知識の共有、啓もうが必須である。

現状においては、
ユーザーに対して十分な知識の共有もなされておらず、
いつ、どこから、いくら借りて、いつまでに、いくら返済しなければならないのかという基本事項を
十分に理解していないユーザーも多い。

貸付の取決書や証書類に書かれてあるとしても、
識字率や教育レベルを考えれば、
「きちんとユーザーに書類を渡している。」
と言って済むものでもないはずだ。

現在、多くの世帯が行っているような
新たな借金で古い借金を返済していくやり方では、
借金が雪だるま式に膨らんでいくことについても理解してもらう必要がある。

貧困削減を謳うMFIsであれば、
これらを徹底した上でユーザーが新規ローンを活かし、
どのように生活を向上させるのかという点についても注意を払わなければならない。

ユーザーの現状を理解し、
彼らが直面している問題について一緒になって考え、
その中で必要な資金は用立てて行くという姿勢が重要となる。

事業計画、返済計画をユーザーと話し合いながら設定し、
その後も単なる取り立てではなく、
事業の進捗とそれに見合った返済を求めていくべきであろう。

まとめ
③サービス情報提供の徹底
④事業計画、返済計画の立案サポートと事業のフォローアップ


3.農業向けローンの構築

MFローンが農業収入によって返済されるためには、
農業サイクルに見合ったサービスの構築も効果的と思われる。

国民、特に貧困層の大多数が農家の国においては、
MFIsは農村の現実に見合った貸付を行っていく必要があるはずなのだ。

安定収入のない農村世帯に対しては、
月々の返済(利子のみ)ですら、
更なる借金を生み出しかねない点も考慮されるべきである。

農家向けには、
月々の利子返済をなくし、
収穫後に元本と合せて返済してもらう等、
農家のニーズを精査した上でのサービス構築が望まれる。

まとめ
⑤農業サイクルに合ったローンサービスの構築

(終)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 10

3.資金繰りのためのMFローン

農業の他、
MFローンは借金返済や消費のためにも多く利用されている。

多くの世帯は農業を主な収入源としているが、
年に1,2度の収入であるために、
収入のない期間が生まれてしまう。
多くの世帯ではタイへの出稼ぎでこれを補おうとしているが、
これも不定期である。

不安定、不定期な収入の農村世帯の資金繰りは厳しく、
家計を借金で補わざるをえない場合が多いと考えられる。


4.貧困削減への効果

この調査においては、
MFローンが貧困削減に寄与していること示すデータは見つかっていない。
逆に、多重債務や借金が拡大している傾向は、
むしろその逆の可能性を示すものである。

また、不動産売却で借金を返済したMFユーザー世帯は2世帯あった点(計3回)、
生活が回らなくなったために他の親族世帯に吸収された世帯も2世帯あった点は注目である。
(後者は全期間のデータ収集ができなかったMFユーザー3世帯のうちの2世帯)

サンプル数の少なさやMF以外の借金もあることから、
これらのケースがどの程度一般化できるものなのか、
MFローンとのどういう関連性があるのかを判断するのは難しいところだが、
貧困が進んでいるケースは間違いなく存在しているのが実状である。


5.マイクロファイナンス拡大の背景

以上の結論を踏まえると、
冒頭の問
「一般的には貧困削減効果が疑わしい中、
MFローンのユーザーが増加しているのは何故か?」
にどのように答えられるだろう?

前述のとおり、
本調査においてもMFの貧困削減効果は認められず、
むしろその逆の可能性が示された。

それでも、多くの農家はMFを利用している。
高利貸しや個人的な貸借、店のツケも多用されている状況からは、
彼らにとってMFは特別なものではなく、
農業や生活のやりくりのための手段の1つに過ぎないものと考えられる。

借金が膨らむ傾向は問題であるが、
高利貸しよりも金利が低く、
個人的な貸借よりはまとまった金が借りられるMFの需要は高く、
MFユーザーの増加に繋がっていると推測される。

また、多重債務の傾向からは、
MFIsが発表するMFユーザー数には、
複数のMFローンを抱えるユーザーが重複して数えられている可能性もあると考えられる。

この調査で訪れたMFユーザー世帯は、
1世帯当たり年間3~4のMFローンを使っており、
この数字を単純に当てはめれば、
カンボジアのMFユーザー世帯数はMFIsが発表する131万人の1/3程度であってもおかしくないことになる。
(これら対象村が首都から300キロ以上、
州都からも50キロ離れた場所であることも忘れてはならない。)

MFユーザーの増加=新規ユーザーの増加ではなく、
既ユーザーのローン数の増加が含まれる点も注意が必要であろう。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 9

さて、これまで見てきた状況から、
何が言えるであろうか。

調査で分かったことにつき考察を加え、
まとめてみよう。


1.MFユーザーの多重債務、借金の拡大傾向

この調査で分かったことの1点目は、
多くのMFユーザーが多重債務を抱え、
その借金額も拡大しているということだ。

多重債務については、
元々多重債務を抱えていた世帯がMFを使うようになっただけとも考えられるが、
全体の借金額が増えている傾向や
MFローンが他の借金の返済が行われている例、
MFローンの返済には借金が多く当てられ例からは、
MFローンによってその傾向が強められていると考えるのが妥当であろう。


2.農業のためのMFローン

MFローンは農業のために広く使われている。
具体的な使い方は、
農地賃借、種子・肥料の購入、トラクター賃料又は燃料、
ワーカーへの支払い、コンバイン賃料、農機修理などだ。

MFローンが農業に使われている一方で、
その返済は農業収入ではなく、
他からの借金で行われるケースが多い。

農業収入が十分ではないことも考えられるが、
16世帯中、農業で収入を得ている14世帯について見てみると、
農業支出額の平均値は2,083ドル、中央値は786ドル、
農業収入額の平均値は3,493ドル、中央値は1,634ドル
と概ね問題がなさそうな状況を示している。

それではなぜ、
MFローンは農業収入ではなく、
他からの借金で返済されるのだろうか?

MFユーザーの家計から考えられる理由の1つは、
ローンの返済期間(1年間)と農業サイクルのミスマッチである。

農家が最も現金を必要とする時期は、
田起しや種蒔を行う4月~6月(早稲では~9月)、
米の収穫を行う11~12月で、
多くはこうしたタイミング借入を行うが、
1年後の返済時期も同様に最も現金が必要な時期に当たってしまうのだ。

そもそも現金が必要だから借入を行う時期に返済を行うのは難しく、
多くの農家は他から借金をせざるを得ないのである。

これは農村において多重債務が発生するメカニズムと言えるだろう。

(MFローンの制度上、
返済期間内のいつでも全ての返済を行うことはでき、
収穫後、籾を売った金で返済を行えば問題はないはずで、
実際、Bさんの世帯のような世帯も存在している。)

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 8

最後にCさんの世帯について見てみよう。

この世帯は調査実施直前に、
高利貸し(IML)からの借金が返済できなかったために家を売り、
現在の家に引っ越した経緯があり、
調査開始時点ではまた別のIMLから437.5ドル、MFから200ドルの借金を抱えていた。

2012年
4月 
5月 農業支出108.63ドル、農業収入800ドル、IML1返済656.25ドル
6月 MF2借入100ドル
7月
8月
9月 仕送り収入500ドル、農業支出500ドル 
10月
11月 仕送り収入100ドル
12月 MF3借入250ドル、MF4借入250ドル、MF5借入500ドル、農業支出395ドル、農業収入950ドル

2013年
1月 
2月 MF6借入300ドル、MF1返済230ドル
3月 MF7借入175ドル
4月
5月 仕送り収入100ドル、MF2返済100ドル

この世帯では、
20代の子ども4人タイへ出稼ぎへ行ったりしており、
年間で1,000ドル弱の仕送りを受けておいる。

農業収入は約2,000ドルであるが、
かかった経費約1,100を差し引いた場合の利益は約900ドルで、
仕送りが主たる収入源であると言える。

年間を通してみると、
やはり農繁期での貸し借りが頻繁であり、
特にコメの収穫期である12月には3つのMFローンから合計1,000ドルも借りている。
収穫にかかった費用が400ドル弱であることから、
借りたお金は農業と消費に使われたと推測される。

MFローンの用途と返済について個別にまとめると、
MF1の用途は農業、返済はMFからの借金、
MF2の用途は消費、返済は仕送り、
MF3、4、5の用途は農業と消費、
MF6の用途は農業と借金の返済、
MF7の用途は消費と借金の返済であると考えられる。

2012年4月には1つのMFローンから200ドルの借金があるだけであったが、
1年後には5つのMFローンから計1,475ドルの借金を抱えるまでになっており、
家計への影響が危惧される状態である。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 7

次にBさんの世帯について見てみよう。

2012年
4月 
5月 農業支出110ドル、農業収入125ドル
6月 農業支出40ドル、IML1借入133ドル
7月 PB1借入467ドル
8月 IML1返済167ドル
9月 
10月 IML2借入125ドル
11月
12月 農業支出188ドル、IML2返済150ドル、MF1返済210ドル、IML3借入200ドル、PB2借入104ドル

2013年
1月 
2月 農業収入1,887ドル、IML3返済220ドル、MF1返済154ドル、PB1返済500ドル、PB2返済104ドル
3月
4月
5月

この世帯は畑作も行っており5月にそこからの収入を得たが、
稲作準備に係る費用をまかなうには不十分で、
やはり5月に借金をしている。

その後の大きな収入がない期間はやはり借金を重ね、
12月にはコメの収穫に係る費用と借金の返済のために更に借金を重ねたが、
コメを売った収入が大きく、
最終的にはほとんどの借金の返済をすることができたという流れ。

MFローンの用途と返済については、
MF1の用途は不明、返済はIMLまたはPBからの借金、農業収入である。

コメの収穫時期がもう少し早いか、
借金の返済期限がもう少し遅ければ、
借金の数や額を減らすことができたであろうと考えられる。

借金額は2012年4月の350ドルから、
162ドルまで減らすことができており、
比較的よい一年であったと考えられる。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 6

個々の世帯の家計記録からも、
MFユーザーの傾向を読みとることができる。

以前も触れたAさんの世帯について、
約100ドル以上の収支、貸借に絞って家計を見てみよう。

2012年
3月 MF1借入350ドル
4月 
5月 農業支出333ドル、PB1借入200ドル、IML1借入125ドル
6月 農業支出163ドル、IML1返済125ドル、MF2借入95ドル、PB2借入100ドル
7月 
8月 治療費・薬代金支出187ドル、IML2借入125ドル
9月 牛1頭売却収入475ドル、IML2返済138ドル、PB2返済110ドル
10月 
11月
12月 農業収入625ドル、IML3借入350ドル、MF1返済364ドル、MF3借入350ドル、IML3返済368ドル

2013年
1月
2月
3月
4月
5月

農業での支出が多くなる5月から借金が増えていることが分かる。
返済期間が厳密でないIMLやPBは、
比較的短期で返済する傾向があるようにも見える。

5月以降、農業収入が入るまでの時期は他の収入、借金と資産売却(牛)で生活を繋いだものの、
12月の農業収入(コメ)が借金の返済には十分ではなく、
MFローンの返済もできなかったため、IMLからの借金で繋ぎ、
最終的には新たなMFローンを借りたというのが大まかな流れと言えよう。

12月の資金のやり繰りはかなり煩雑であるため、
以前のやりとりに若干の修正を加え、
もう一度まとめておこう。

3月 MFI A社より350ドルの借入
11月19日 高利貸し Xより350ドルを借入
11月20日 MFI A社へ364ドルの返済
12月1日 MFI A社より350ドルの借入(新規ローン)、高利貸し Xへ368ドルの返済

3つのMFローンの用途、返済を見てみると、
MF1の用途は詳細不明ながら農業、返済はIMLからの借金、
MF2の用途はお金の出入りの激しいタイミングであるため資金繰りのため、返済は日雇い収入等、
MF3の用途はIMLへの返済のためと言えそうだ。
(更にはこのIMLからの借金はMF2の返済のためであったから、
MF2の返済のためにMF3を借りたとも言える。)

2013年5月現在、
PB1の200ドル、MF3の350ドルが未返済で、
他借金と合せた負債額は719ドル。
昨年の4月時点では350ドルであり、
1年で借金が約2倍になったことになる。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 5

次に、MFローンの使われ方を見てみよう。
MFの用途として多かったものは以下のとおり。

1.自営農業(投資)
2.消費
3.他の借金の返済

ほとんどの場合、
自営農業のためというのがユーザーが借入の際にMFIsに行った説明であるが、
実際にはこれの他、消費や借金の返済にも利用されている。
また、借りた現金のうちの半分を農業に、
残りの半分を消費にという例も少なくない。

これら3つの用途のうち、
どれに最も多くMFローンが使われたを知る為には、
インタビューの回答と合せ、
その時々の世帯内のお金の流れを精査し判断する必要があるが、
それに基づけは、農業、借金の返済、消費の順であると考えられる。

MFローンが借金の返済にも使われている点は、
借金の拡大との関連性があるものであろう。

MFの返済についても見てみよう。
返済の資金源は以下のようなものだ。

1.農業収入
2.仕送り
3.日雇いやOFB(小売などの商売)
4.他の借金
5.資産売却

MFローンの用途同様、
その時々の世帯の資金の流れを基に判断すれば、
他の借金と農業が多く、資産売却、他の収入がそれに続くと考えられる。

自営農業と仕送りは多く世帯にとっての大きな収入源ではあるが、
農業は多くて年に2度、仕送りは不定期であり、
日雇いやOFBでまとまった収入を得ることは難しいため、
他からの借金や牛や土地などの資産売却をして
資金をつくらざるをえないケースが多いのであろう。

MFローンの返済に他の借金が使われているケースが多いというのは、
やはり借金の拡大と関連があると考えられる。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 4

ここからMFユーザー13世帯に焦点を絞り、
詳細を見ていくことにしよう。

前述のとおり、
これらの世帯はIML、MF、PB、SCの利用頻度が高い傾向が見られる。
13世帯の平均で見れば
年に13.54回の借金、
ツール別ではIMLが3.23回、MFが3.23回、PBが3.31回、SCが3.77回である。

MFローンの返済期間が通常1年であることを考えれば、
これら世帯が多重債務に陥っている可能性が高く、
実際MFローンの借り入れ期間中に他に借金があった世帯は、
13世帯中12世帯であった。

また、13世帯中8世帯が調査期間中に3つ以上のMFローンを利用しており、
内訳は、3つが3世帯、4つが1世帯、5つが3世帯、7つが1世帯である。

MFユーザー世帯が多重債務の傾向にあることは、
間違いないと言っていいであろう。

次に、13世帯の年間収支を見てみよう。

13世帯の年間収入は1,440ドルから19,239ドルに分布、
平均値は4,632ドル、中央値は3,377ドル。
年間支出は2,326ドルから19,349ドルに分布、
平均値は5,647ドル、中央値は3,933ドル。

13世帯の賃借状況は次のとおり。

13世帯の総借入額は426ドルから4,242ドルに分布、
平均値は1,815ドル、中央値は1,656ドル。
総返済額は317ドルから5,414ドルに分布、
平均値は1,689ドル、中央値は1,294ドル。

調査開始時における13世帯の貸借のバランスは-2,625ドルから31ドルに分布、
平均値は-570ドル、中央値は-349ドル。
借金のあった11世帯のみで言えば、
平均値は-677ドル、中央値は-349ドル。

調査終了時における13世帯の貸借のバランスは-2,533ドルから-90ドルに分布、
平均値は-954ドル、中央値は-850ドル。

調査開始時と終了時の貸借バランスの比較で、
額がマイナス傾向(借金を増やした)を示したのは13世帯中10世帯であった。

総じて、借金が増えている傾向がうかがえ、
収支バランスと合せて考えた場合、
赤字の家計を埋めるため、
借金で家計を成り立たせている世帯が多く、
多重債務傾向により金が膨らんでいると考えられる。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 3

13カ月に渡り、
2週間に一度各世帯を回ってデータの収集を行ったが、
最終的に全期間に渡り比較的信憑性の高いデータが収集できたのは、
27世帯中16世帯はのみであった。

データ収集ができなかった理由は以下。
1.引っ越し、或いは他世帯への吸収されたため。(3世帯)
2.信憑性のあるデータ収集が不可能であったため。(4世帯)
(世帯主らの記憶が曖昧、世帯構成員に不明瞭な所得があると考えられる、高利貸しを行っている等)
3.その他の理由で継続的なインタビューが不可能となったため。(4世帯)

16世帯に関するデータを表にまとめてみると、
全体的には以下のような状況及び傾向があることが分かった。

1.
全期間のデータ収集ができた16世帯において、
総収入は1,440ドルから15,157ドルの範囲に分布、
平均値は5,768ドル、中央値は3,777ドル。
総支出は2,326ドルから17,245ドルの範囲に分布、
平均値は6,985ドル、中央値は4,189ドル。

2.
これら16世帯全てにおいて借入及び返済があり、
総借入額は426ドルから4,242ドルの範囲に分布、
平均値は1,670ドル、中央値は1,521ドル。
総返済額は317ドルから5,414ドルの範囲に分布、
平均値は1,567ドル、中央値は1,278ドル。

3.
16世帯全ての世帯で医療費・薬代の支出があり、
世帯支出の1~14%を占めている。
16世帯中10世帯が出稼ぎ者からの仕送りを受けており、
仕送り額は総収入の1~61%を占めている。
ほとんどの世帯において、
収入、支出のいずれでも農業が一番大きなファクターである。

4.
16世帯における借入のための金融ツール(IML、MF、PB、SC)の利用回数は、
1回から21回の範囲に分布。
MFユーザーは13世帯、非MFユーザーは3世帯で、
MFユーザーの借入は6~21回の借入があるのに対し、
非ユーザーは1~6回の借入を行っている。

5.
調査開始時における16世帯の負債額の平均値(厳密には負債額から個人的な貸付を引いた額)は468ドル、
調査終了時における平均値は769ドルと増加している。
MFユーザーである13世帯だけに限れば、
調査開始時の負債額の平均値は570ドル、
調査終了時の平均値は954ドル。

以上からは、
全体的に収入よりも支出が多い傾向や
負債の増加傾向が見てとれる。
また、MFユーザーに関する4.及び5.の点は非常に興味深い。

非MFユーザーグループでは最も多い世帯で6回の借入しかないのに対し、
MFユーザーグループでは最も少ない世帯でも6回の借入をしている。
MFユーザーについて更に見てみると、
10回以上の借入がある世帯が8世帯、
20回以上の借入がある世帯が2世帯あった。

引っ越しや他世帯に吸収された3世帯もMFユーザーであったが、
これらの世帯においても8~15回の借入があり、
同様の傾向を示している。

これはMFユーザーの多重債務傾向を示すものだが、
MFユーザーの負債額も増加傾向にあり、
両者の関係性も疑われる結果となった。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 2

この調査の目的は、
カンボジアの農村部においてMFが果たしている役割を調べるというものだ。

この目的の達成のため、
Portfolios of the Poorで紹介されたファイナンシャルダイアリーという調査法を採用、
質問票もこの本の基となった質問票を参考に作成した。

具体的な調査の内容は、
農村世帯27世帯を対象に、
13カ月の間(2012年4月~2013年5月)の支出、収入、借入、返済、資産の変化等を記録し、
MFの他、
Informal Money Lenders(高利貸し、IMLs)、
Personal Borrowing(知人・友人からの借入、PB)、
Shop Credit(店のツケ、SC)、
Saving Group(グループ預金、SG)
がどのように利用されているかを分析するというもの。

対象は州都から西に約50kmの距離にある3つの村の世帯。
これまで個人的な付き合いのある村を対象とすることで、
収入、支出、借入、返済、資産について、
可能な限り信憑性の高い数字を得られるように努めた。

家計の記録は、
月に2度これらの世帯を訪れ、
インタビュー形式によって行った。

カンボジア世帯の多くが農村世帯である点、
更にはその多くが貧困世帯である点、
貧困削減を目的とするMFが急速に広まっている点から、
調査の意義は小さくないものと思われる。

この調査法にはその対象が小さいという限界があるが、
比較的長期間に渡り、
農村世帯の経済活動を細かく調べることができるという利点もある。
特に固定給を持たない農村世帯の家計を知るため、
またMFの用途は返済法を知る上ではより適した手法と言えよう。

(続く)

 

カンボジア農村地域におけるマイクロファイナンスの役割 1

少しずつ農村社会調査のデータがまとまってきたので、
農村世帯におけるマイクロファイナンス(MF)の役割について、
まとめてみたい。

この調査の前提は、
MFの貧困削減効果は学術的に認められていないというものだ。
MFIs(Mirofinance Institutions、マイクロファイナンス機関)や
その支持者(投資家?)らもこの効果を主張しているが、
研究者間の意見は分かれており、
少なくとも効果があると言える状況にはない。

次に、カンボジアのMFの現況だが、
2013年6月末現在のMFローンのユーザー数は131万人、
平均融資額は764ドルで、
いずれの数値も増加傾向にある。

ユーザー数は総人口比の約1割。
世帯構成員数を基に計算すれば、
約半分の国民が何らかの影響を受ける立場にあるのだから、
軽視できない状況である。
(実際には多重債務のために影響を受ける国民の規模はより小さいと考えられる。)

上記の前提及び現況から、
「一般的には貧困削減効果が疑わしい中、
MFローンのユーザーが増加しているのは何故か?」
という問いが生まれてくる。

カンボジアにおいては貧困削減効果があるということだろうか?
そもそも、
カンボジアではMFはどのように利用されているのだろうか?

(続く)

 

書籍 「経済成長という病」

経済成長という病 (講談社現代新書)経済成長という病 (講談社現代新書)
(2009/04/17)
平川 克美

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別々に発表されたエッセイをまとめたものであるため、
各章において様々な視点が示されるが、
コアとなるアイデアは題名のとおり。

日本について書かれた内容が多いが、
経済成長は万国共通のテーマである。

ポジティブな響きしかない「成長」という言葉を
「病」と言ってしまうところが本書のおもしろさでもあり、
議論を呼ぶ点でもあろう。

以前ここで紹介した本の中には、
発展やdevelopmentへの疑いを示すものもあったが、
「病」という言葉が示す通り、
平川の視点は更にその先を行くものである。

では、平川の見る経済成長とは何か?

話を分かりやすくするために実質国民総生産の増加を経済成長だと定義してみる。要するに市場に供給する生産物、サービスの増加が経済成長だと考えてみる。文明化が一定の水準に達し、消費者の手元に必需品としての生産物がいき届いた時点で、需要は原則としては買い替えのための消費だけになるので、経済は成長することを止めて均衡へと向かう。もし、この段階で人口減少が起これば総需要は更に減少することになり、経済成長はマイナスの局面に入ることになる。簡単な算術である。
しかし、何故か現実の世の中では、与党の政治家も野党の政治家も、企業家も、経済学者も、メディアも、一般の人々も「経済は成長しなければならない」という観念に支配され続けている。小泉政権下のスローガンは、「改革なくして成長なし」というものであった。(P. 64-65)

・・・世間にダイエットという言葉が流行し始めたとき、経済成長はその本来の動機を失いつつあると思うべきではないのか。
食料を過剰に摂取し、肥え太って動けなくなり、何とかしなければならないと思ってスポーツジムに通い、ルームランナーで余分な水分を搾り取るというのは、どう見ても間尺に合わない行動である。しかし、自分がブロイラーのニワトリのような生活をしていても、やがてそれが奇妙だとは思わなくなる。より効果的なダイエット器具が開発され、新たな需要が喚起される。
こんなことがいつまでも続くと考えるほうが不自然である。(P. 69-70)

平川は社会の発展と出生率の低下を論じるエマニュエル・トッドの人口学に基づき、
経済成長が人口減少を引き起こす可能性を指摘、
現在の日本のように経済成長を促すことで少子化に歯止めをかけるというのは、
むしろ本末転倒の議論だとも論じる。

では、我々にはどのような選択肢があるというのだろうか?
経済成長への懐疑やそれとの離別を唱える類書は多いが、
それに取って代わる強い指針が示される例は少ない。
「病」対する「薬」はあるというのだろうか?

残念ながら、
本書においても強い指針、
「病」への「処方箋」示されることはない。

ただ、自分たちの「病」を自覚し、
すでに訪れ始めている均衡、或いは退化の時代に向け、
我々ひとりひとりが子どもの頃のように未来図を描いてみることを勧めるのだ。

「私には、今の子どもたちにとって未来図を描けというのは、
案外難しい課題であるように思われる。」(P. 223)
という平川の指摘は、
子どもだけでなく、我々大人にもにも当てはまるものでもあるだろう。

日本の子たちはどんな未来図を描くのだろう?
カンボジアの子どもは?
そして、自分はどうだろう?

本書の続編として書かれた、
以下もオススメである。

移行期的混乱: 経済成長神話の終わり (ちくま文庫)移行期的混乱: 経済成長神話の終わり (ちくま文庫)
(2013/01/09)
平川 克美

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Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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