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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

国民の覚醒?

始めチョロチョロだった選挙活動も、
投票日が近付くに連れ活発になりつつある。
週末ともなれば、
大音量の音楽を流すトラックやバイクの集団が所狭しと町を行き来するようになってきた。

今回の選挙については、
選挙結果だけでなく、
選挙に対する市民の反応、態度も注目に値するものと思われる。

選挙自体への慣れや変わらない政治・社会体制への諦めから興味を失った人たちがいる一方、
facebookやtwitterを通じ活発な意見交換を行う人たちが生まれつつあるだ。
こうしたモノ言う市民は主に都市部の若年層である。
以前は政治のことを口にするのは好ましくないという傾向があったのだから、
大きな変化と言えよう。

変化の背景には主に3つの理由があると考えられる。

1つには単純に若い世代が増えたということ。
今回初めて投票権を持つ若者は150万人以上と言われている。

2つ目には、
インターネットやスマートフォンの普及が挙げられる。
以前より携帯電話が大好きな国民であったが、
若者の間ではスマートフォンやfacebookが大流行である。
こうしたITのハードとソフトは他国でも政治を動かす力となってきたものだ。

3つ目は、
若年層の中で生まれつつある意識の変化である。
これは政治に対する興味ということよりは、
国家への帰属意識の高まり、
国民としての意識の高まり、
ナショナリズムの醸成と言ったほうが適切かもしれない。

これがどのようにして発生したのかは定かでないが、
この数年象徴的な出来事がいくつかあったように思われる。

昨年の前国王崩御に際しては、
多くの国民が胸に喪章を付けて哀悼の意を示していたが、
個人的にはあまりそうしたことに関心のない若者が率先してそれを行っていることに驚かされた。
facebookのプロフィール写真を喪章にすることも、
一種の流行となっていたようである。

前国王へのお別れに王宮へ向かう地方からの巡礼者に
パンや水を配るカンボジア人ボランティアがニュースに取り上げられ、
これを茶化す書き込みをfacebookに行った某セレブには非難が集中したというのも象徴的であった。
インターネット上では、
カンボジア人としてすべきことが盛んに議論されていた。

前国王へ敬意の表明が、
国への忠誠の表明に広がりを見せたと理解できよう。
昨今のI LOVE CAMBODIAと書かれたTシャツの流行も、
この流れの中で理解できるように思う。

テレビを見ていても気付くことがある。
アンコールワットをモチーフにしたビール会社は
「My Country My Beer」というキャッチを長年使ってきたが、
現在シェアを伸ばす新興の会社は、
タイとの領地争いの末、
2008年に世界遺産登録されたプレアビヒア遺跡をロゴに使用し、
「National Beer National Pride」というフレーズで売っている。

テレビCMは、
山の頂に集まった国民同士が腕を組み、肩車をしてタワーを作り、
最後にはプレアビヒア遺跡が出来あがるというものであった。
(現在は、国際的なコンペで優勝したこと前面に出し、
国民のプライドに訴える戦略を取っている。)

ビールそのものの味や価格を押すのではなく、
ナショナリズムに訴えるほうが宣伝として効果があるという状況は興味深い。

もっとさかのぼって振り返ってみると、
プレアビヒア遺跡周辺に駐屯する兵士のための募金運動が起こった数年前から、
こうした機運が出来てきていたのかもしれない。
(注:給与や装備が十分ではない兵士のための募金運動)

世界的には、
インターネットや携帯の普及によってエンパワーされた民意が、
長期政権を倒す例が見られる。
カンボジアでも決してありえない話ではないであろう。

カンボジア研究においてもオススメのテーマである。
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プロフィール

バッタンバン長

Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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