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バッタンバンで晴読雨耕

バッタンバンを中心としたカンボジア北西部の情報ブログ-大学教育、地雷、農業、開発、投資に関する話題から ホテル、レストラン情報まで

 

書籍 「More than Good Intentions」

More Than Good Intentions: Improving the Ways the World's Poor Borrow, Save, Farm, Learn, and Stay HealthyMore Than Good Intentions: Improving the Ways the World's Poor Borrow, Save, Farm, Learn, and Stay Healthy
(2012/03/27)
Dean Karlan、Jacob Appel 他

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個人的にはまず題名に惹かれた。


それが援助であれ、

マイクロファイナンスであれ、

関わっている人の多くは「よかれ」という思いでいるはずだ。

しかし、そうした活動の結果がその意図どおりにならないことも経験上知っている。


学校がない教育が受けられないからといって建物を寄贈しても、

それだけで学校ができる訳ではなく

(先生、先生のトレーニング、運営資金、教科書、文具だって必要だ)、

全ての子どもが教育を受けられる訳ではない。


貧しい者には事業を興す資金がないからといってお金を貸しても、

それだけで彼らの事業が成功する訳ではなく

(技術、知識、運も必要だし、お金が事業に使われない可能性もある)、

貧困から抜け出せる訳でもない。


我々自身の生活や社会に複雑性があるように、

彼ら、そしてその社会にも固有の複雑性があり、

簡単な方程式を当てはめて正解を出そうとしてもそうはいかないということだ。


ある時、特定の個人、社会で正解が出たとしても、

他の時間、個人、社会では正解とならないことだってあり得る。


では、汎用性のある正解を導き出すことは不可能なのだろうか?

前置きが長くなったが、その問いに答えようというのが本書と言える。


著者らは、

行動経済学的視点、

元来人間の行動は不条理である、或いは合理的ではないという視点から、

途上国における金融、農業、教育、保健を改善する手立てを考える。


少し雑かもしれないが、

本書の主張をまとめれば、

人間は合理的な生き物ではないのだから、

論理的に正解(手立て)を探すことは難しく、

それら手立てに対し人々が取る行動の結果、

つまりは効果を測ることが必要ということになろう。


そして、この鍵となるのが、

客観的な効果測定が可能なRCT(Randamized Control Trial)である。


金融分野について言えば、

各国で実施されたRCTによる調査結果から、

マイクロ貯蓄が貧困削減に役立つという結論が導き出せるという。

ただし、その制度を作るだけでは不十分であり、

貯蓄への後押しとなるような事業も必要だそうである。


これらの2点の他、

以下の5点についても同様に効果があると結論付けられるそうだ。


1.前払い済みの肥料(農業)

2.寄生虫の駆除(保健)

3.少人数制の補習授業(教育)

4.飲料水用の無料塩素分配機(保健)

5.Commitment Devices(全分野)


それぞれの調査結果を見てみないことにはこれらが正しいのかどうかは分からないが、

考える筋道としてはなかなか説得力のある議論である。


日本が得意とする道路などの基礎インフラ整備もそれなりに効果があるように思うが、

このリストには入っていない。

マイクロクレジット/ローンもやはり客観的な効果は認められていないようで、

リストから漏れている。


著者らは、今後各国で行われる調査によっては、

これ以上、これ以外のリストも可能だと言う。

さて、これに加えられそうなものが他に何かあるだろうか?


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プロフィール

バッタンバン長

Author:バッタンバン長
カンボジア王国バッタンバン在住、バッタンバン長です。
バッタンバンを中心に、開発援助業務、大学講師、社会調査、日系企業進出・投資のお手伝い等をやっております。
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